インタラクティブアートのための
位相シフト法を用いたパターン隠蔽方法


 近年,プロジェクションマッピングは商業的,芸術的方面において盛んに行われている.その中でも,体験者の行動,反応を読み取り,応答する作品はインタラクティブアートと呼ばれ,注目を集めている.大規模なインタラクティブアートでは赤外線光の到達距離を原因とする測定範囲の制限より,デプスセンサを複数台設置する必要から機器設定の手間やコスト増加の問題がある.また,深度計測のための参照光をプロジェクタで出力するシステムは,大規模~小規模と作品の規模に合わせて自動的に測定範囲を調整される利点がある.コンテンツ投影のためのプロジェクタと,計測参照光のためのプロジェクタを一体化することが可能となれば,コンテンツの大きさが決まると同時に測距計測範囲の調整も完了し,機器設置の手間やコストを大幅に削減することができる.そこで,本研究ではコンテンツ画像の中に測距のための構造化光パターンを隠蔽しながら,投影する手法を提案する.
 我々は構造化光手法の一つである,位相シフト法[1]を用いる.コンテンツ光とパターン光は時分割で投影する.位相シフト法は正弦波状のパターンであるために,測距パターンに矩形波を使用するパターン隠蔽の従来手法とは違い,隣接画素との輝度差が少ないため,パターン隠蔽時に映像のちらつきが起こりにくい.加えて,位相シフト法の位相の変化量を適切に調整することで隣接フレーム間におけるちらつきを小さくすることができる.

図1 左:実験環境(パターン隠蔽時) 右:位相画像

[1] J.H.Bruning:“Digital Wavefront Measuring Interferometer for Testing Optical Surfaces and Lenses”, Applied Optics, Vol13, No.11 pp.2693-2703 (1974)